抗体依存性感染増強

ワクチンは感染症の発症を防ぐ役割を果たす効果を狙うものであるが、抗体依存性感染増強(ADE)と呼ばれている、予防とは逆に感染を増強してしまう抗体が産生されてしまう事例が過去に起きており、各国のウイルス研究者が今回のCOVID-19ワクチンにおいても同様の懸念を表明している。

 
 

現代思想 11月号 ワクチン を考える p9〜10
山内 一也 氏(東大名誉教授 ウイルス学研究者) より引用

2  懸念されている抗体依存性感染増強

ワクチンにより産生される抗体は、ウイルスを中和して、感染を防ぐ役割を果たす。ところが、抗体が症状を悪化させる現象が、半世紀以上前にデングウィルス感染で見つかり、抗体依存性感染増強(ADE) と呼ばれている。
コロナウイルスの場合には、マウス肝炎ワクチンと豚伝染性胃腸炎ウイルスではADEによる題は見られなかったが、猫伝染性腹膜炎のベクターワクチンではADEが疑われた事例が起きて、開発が中止された。
ADEは、次のようして起きると考えられている。ウイルスに結合した抗体の定常領域(Fc)と呼ばれる部分(鍵)が、マクロファージ(白血球の1種)の表面にあるFc受容体(鍵穴)と結合することで、抗体とともにウイルスがマクロファージに侵入する。そして、マクロファージ内で増殖するというわけである。ADEの原因になる悪玉抗体とウイルスを中和する善玉抗体は同じ鍵を持っている。両抗体を区別することはできていない。
ワクチン開発の過程では、限られた数の人を対象とした臨床試験でADEについて慎重に検討する必要がある。COVID-19ワクチンについても同様である。

3 副作用に関わる過去の事例から学ぶ教訓

ワクチンは身体にとって異物であるため、体内ではさまざまな反応、すなわち副反応(副作用)を起こす。副作用は経験的または理論的に予想されるものだけではない。低い頻度で起こる副作用の中には、臨床試験では見つからないものもある。ワクチンの歴史を振り返ると、拙速な集団接種を行なった際に、予想外の事態がいくつか起きていた。

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